MRI検査に携わると必ず理解して丘なかればならない撮像法がこのDWI:拡散強調画像ですよね。
なんとなく意味はわかるけどきちん原理から理解したいという方もいらっしゃるでしょう。
今回は、DWIの原理とそれと合わせて撮像される ADC mapについて解説していきます。
あわせて脳梗塞の味方についてもみていきましょう。
拡散強調画像(DWI : Diffusion Weighted Image)
拡散強調画像(DWI)は、CTでは分からない超急性期や急性期といった早期脳梗塞の発見に絶大な威力を発揮します。脳梗塞疑いの患者では必ず撮像するようにしましょう。また、必ずADC-map(ADC画像)もセットで作成しましょう。
DWIについて、ここでは画像の見方と、その見分けのために最低限必要な基礎知識についてザックリとした説明をします。かなり長くなりますが、その分、わかりやすいように一つ一つ順を置いて説明してきます。
拡散って? 拡散係数って?
「拡散強調画像の拡散ってなにを拡散してるんですか?」という質問を新人から受けますが、これは水分子の拡散運動(ブラウン運動)のことです。これを強調して画像化したものが拡散強調画像なのですが……まだまだこれではわけが分かりませんね。
一つ一つ、敷衍(ふえん)していきます。
拡散とは、水分子がどの程度自由に動けるのか・動いたのかということです。よって、拡散強調画像を文理解釈すると、水分子がどの程度自由に動けるのかに着目(=強調)して画像化したもの、ということになります。
そして、水分子がどの程度自由に動けるのかを拡散係数と呼びます。(後述しますが、この拡散係数をそのまま画像化したのがADC-mapと呼ばれるものです。)
拡散係数が大きいほど水分子が拡散しやすい状態であることがわかります。
水分子が拡散しやすいということは、プロトンが移動しやすいということを意味します。
プロトンが移動しやすいということは、MRIの基本でもありますが、信号を発する大元が何処かに移動してしまうということです。(これがわからない人はMRI原理の基礎を説明したエントリーまで戻りましょう。)
信号を出す大元たるプロトンがどこかに移動してしまうということは、そのプロトンからの信号が拾えないということを意味します。
よって、拡散係数が大きいほど信号が少なく(=低信号)、拡散係数が小さいほど信号が多い(=高信号(白い影・白い点))となります。
画像の見方を忘れてしまい、拡散係数が大きいと高信号、と間違えて覚えてしまったり、「あれっ、どっちだっけ!?」となるのは、拡散や拡散係数の意味をわかっていないからです。難しいことではありませんので、結論だけ覚えるのではなく原理を覚えましょう。
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脳梗塞と水分子の関係
次に、脳梗塞と水分子の関係について。
正常組織における間質では、水分子が自由に動けます。これが、自己融解状態になった場合、タンパク質分解が起こって浸透圧上昇が起き、細胞内へ外部から水が入ってくるようになります。
結果、細胞が膨張し、間質の水分子が自由に動けなくなります。(拡散係数が落ちる)
拡散強調画像の画像の見方
拡散強調画像(DWI)では水分子が動けないほど高信号(白い影・白い点)となります。T2強調画像は、単に水が多ければ高信号になる撮像法ですが、拡散強調画像(DWI)は、水分子の移動が少ない(=拡散係数が低い)ほど高信号になる撮像法なわけです。
セットで作成する ADC-map(ADC画像)って?
ADC-mapは前述の拡散係数をそのまま画像化したもので、拡散係数がDWIと組み合わせることでDWIの診断能を高めます。
例えば、DWIで高信号かつADC-mapで低信号だと、その部位の拡散係数が低下していることがわかります。これにより、拡散による白い影・白い点なのか、拡散とは無関係なものか(T2 shine through か)を見分けることができます。
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