胃透視のバリウム濃度や副作用について。下剤でも便秘で出ないけど大丈夫?

硫酸バリウムは健康診断や胃の精査で使用しますが、目的によって飲む量や濃度を変えています

そして検査終了後はなるべく早く硫酸バリウムを体外に排出する必要があります。

便秘などで便が出ないと困るので下剤を飲んでもらうことが一般的。

この記事では、胃透視検査を行うときに使用する硫酸バリウムの濃度、副作用、検査後の注意点などを説明したいと思います。



そもそもバリウムってどんなもの?

硫酸バリウムにはゾル状のものと粉末状のものがあり、どちらも水にはほとんど溶けません。

硫酸バリウムの粒子の大きさは0.1μmから35μm程度の大きさで、粒子の大きさが細かくなるほど粘度があがりドロッとし、粒子が大きくなるほど粘度が下がりサラッとします。

硫酸バリウムの濃度は重量/容積%(W/V%)で表されます。

硫酸バリウムの内容物には分散剤や粘調剤の他に香料や甘味剤など様々な添加物が入っているのです。

最近のバリウムは、美味しく飲めるようになりました。

飲むヨーグルトをイメージしていただければそれほどずれはないかなと。もちろん飲むヨーグルトの方が美味しいですが(苦笑)

その点はだいぶ良くなったなという印象ですね。

硫酸バリウムの濃度

健康診断で使用する場合は、200 W/V%~の高濃度にして120cc~160cc前後の少量で検査を行う事が多いです。

一方、精査で使用する場合には180~200 W/V%の濃度で200cc程度の量を使用して胃透視検査を行っています。

当院では健康診断などに使用する場合は240 W/V%の高濃度にして20cc前後の少量で胃透視検査を行い、精査や一般診療の撮影で使用する場合には180~200 W/V%の濃度にして200cc前後の量を使用して胃透視検査を行っています。

健康診断で使用する時は、全て二重造影法で撮影するため充満像は撮影しないので、飲む量を少なくして硫酸バリウムを240W/V%の高濃度にする事で胃粘膜を洗い流し、胃粘膜表面にしっかり硫酸バリウムを付着させて撮影します。

精査や一般診療で撮影をする時は、立位充満像や圧迫撮影をするため胃角部分まで硫酸バリウムが必要となり、180~200 W/V%の薄めの濃度にして200cc前後の硫酸バリウムの量で胃粘膜を洗い流し、胃粘膜の表面にしっかり硫酸バリウムを付着させて撮影します。

このように健康診断の撮影の時も精査や一般診療での撮影の時も1回の検査に含まれている硫酸バリウムの量は同じですが、検査手技の違いにより硫酸バリウムの濃度と飲む量を変えて検査をします。

胃透視の目的や手順、撮影法についてはこちらで詳しく説明しています。

 



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バリウムの副作用にはどんなものがあるの?

胃透視のためのバリウムを飲むと副作用が起こることもあります。

どういた種類があるのか確認してみましょう。

ショック・アナフィラキシー

ショック・アナフィラキシーが現れる事が有るので観察を十分に行い、顔面蒼白、四肢冷汗、血圧低下、チアノーゼ、意識消失、紅潮、蕁麻疹、顔面浮腫、咽頭浮腫、呼吸困 難等が現れた時には適切な処置が必要となります。

消化管穿孔、腸閉塞、腹膜炎

消化管穿孔、腸閉塞、腹膜炎等をおこすことがあります。

また、大腸潰瘍、大腸炎、憩室炎、バリウム虫垂炎等から消化管穿孔に至るおそれも。

観察を十分に行い、検査後は腹痛の異常が認められた場合に適切な処置が必要となります。

消化器

排便困難・便秘・一過性の下痢・腹痛・肛門部痛・出血・悪心・嘔吐。

過敏症

発疹・掻痒感・蕁麻疹

胃透視検査でバリウムを使用してはいけない場合

バリウムを飲むことで副作用を起こす可能性があることはわかったと思いますが、視点を変えてバリウムを使用してはいけない患者についてみていきましょう。

消化管穿孔または疑われる患者

腹腔内に硫酸バリウムが漏れる事でバリウム腹膜炎などにつながるおそれが有ります。

消化管に急性出血のある患者

出血部位により穿孔を起こす可能性が有ります。

消化管の閉塞または疑いのある患者

腸閉塞または穿孔を起こす可能性が有ります。

全身衰弱の強い患者

硫酸バリウム製剤に過敏症の既往がある患者

硫酸バリウムは消化管から吸収されないので一般には毒性は無いとされています。

しかし医療用バリウムでは副作用があり、稀に薬物過敏症によるショック症状が見られる場合があるので注意が必要です。

検査後の注意点!便秘で便が出ない場合はどうなる?

胃透視検査が終了したら担当の技師や医師、看護師から下剤が渡されます。

便秘の悩みがない方でも下剤を飲み、水分を多く取り出来るだけ早く排便する事が大切。

硫酸バリウムは体内に吸収される事はほとんど無いので多くは当日の夕方頃までに硫酸バリウムの白い便が出ます。

当日中に便が出ないこともありますが、その時点ではそれほど心配する必要は有りません。

しかし、2~3日中には便が出ない場合は、消化管穿孔や腸閉塞や腹膜炎を起こす可能性が有るので気をつけてください。

胃透視検査終了後3日過ぎても便が出ない時は病院に行き診察を受けてください。

ほっておくと硫酸バリウムが腸の中で固まってしまい穿孔や腸閉塞を起こし、最悪の場合は開腹手術が必要なことも!

普段から便秘症の方は下剤を多めにもらってください。

アルコールは硫酸バリウムを固める原因になるので控えたほうがいいでしょう。

もちろん水分は多めにと取るように心がけてください。

硫酸バリウムが完全に体内から排泄されるには一度の排便では一部は腸内に残ってしまい2~3日かかります。

上記のように、健康診断などで日常使われている硫酸バリウムですが稀に重篤な副作用につながる可能性もあります。

硫酸バリウム製剤に過敏症の患者や高齢者で体力が弱っている状態の患者には生命の危険につながる事も有るので十分な注意してくださいね。

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