乳がんのMRIの造影パターン!造影剤の光り方を理解しよう!

「乳腺MRIの造影ってどんな風に写るんですか?」

私自身もそうでしたが、乳がんのMRI検査で造影剤を使用した時にどのように写るのか具体的にイメージできないのは不安が大きいものです。

もしかすると乳がんを見逃してしまったりするのではないか……変な写真を提出するわけには……造影剤の光り方がよくわかっていないと心配になりますよね。

というわけで、簡単にですがシーケンスや造影パターンについて説明させていただきます。わからない所は教科書と照らし合わせましょう。




シーケンスについて

両側乳房を同時に撮影します。

シーケンスは以下の通りで、1〜3までがガイドライン準拠です。

  1. T1強調
  2. T2強調
  3. ダイナミックT1強調
  4. 拡散強調画像(施設による)

また、乳房は脂肪が多く、被験者の加齢に伴いその比率を増していくため、脂肪抑制併用で撮影する必要があります。

T1強調もT2強調も、乳がんそのものの検出能は低い……というか信号が乳がんと乳腺で変わらないため識別がほぼ不可能ですが、それ以外の病状・症状との鑑別のために必要です。

特にT1強調では脂肪に強いため脂肪腫などの良性を鑑別するのに有用です。また、血性乳汁なども高信号となります。

拡散強調画像についてはフォローアップに有用です。検査時間に余裕があるなら撮っておきましょう。

造影剤は通常通りガドリニウム系

通常通り、マグネビストやオムニスキャンといったガドリニウム系造影剤を利用します。

多分、研修・講習でも職場でも口を酸っぱくして言われると思いますが、早期層(2分まで)が最も重要です!(特に、早期相を更に2つに分けて最初の1分を第一早期、1〜2分を第二早期と呼ぶ流派もあるようです。)

多くの乳がんが早期に造影されるため、逃すと検査した意味がないといっても過言ではありません。



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造影パターン(ダイナミックパターン)

乳がんは rapid-washout パターンを取ることが多いです。良性であれば slow / medium-persistent になることが多いです。

これはあくまでも『多い』光り方なだけであって、非浸潤性で悪性度が低いと良性に近しい造影パターンをとることがあり、造影パターンだけ判断するのは無意味かつ危険です。

形態・分布を評価しつつ、マンモやエコーなど他のモダリティ画像も併用して総合考慮の上で判断するのが通常です。

ちなみに、常に形態評価が優先となります。特に辺縁評価(Margin)が重要で、スピキュラや不正辺縁は悪性の可能性が高いといえます。

診断は通常、読影医が行うとは思いますが、読影に必要な情報を知らずに撮影するわけにも行きませんので、ザックリとでいいから画像の光り方を把握しておいてください。

描出・染まり方(光り方)

上記の通り、T1強調でもT2強調でも乳がんと乳腺がほぼ同じ高信号(真っ白)となりますので鑑別が不可能です。

ダイナミックでは、乳がんの多くが早期に濃染し、増強効果は減少していきます。(washout)上記の通り、これを見逃すと取り返しがつかないレベルでヤバイです。

同様に、良性腫瘍の多くが、早期濃染から増強効果が増加します。(persistent)

一番困るのがプラトー(plateau:横ばい)で、早期濃染から増強が横ばいになるパターンです。乳がんか良性か分かりません。

染まる形状ももちろんですが、早期相での濃染の変化を見逃さないようにしましょう。

どちらにせよ、鑑別のためには最終的に生検が必要ですので、乳がんを疑う重さの基準ぐらいに考えましょう。

おまけ:造影前T1強調・脂肪抑制ナシはたまに有用

通常、造影前T1強調は脂肪抑制併用で行いますが、敢えて脂肪抑制なしのT1強調をとっておくと、内部脂肪評価ができ、脂肪性乳房において辺縁評価の助けになります。

たまに役に立ちますので、余裕があればとっておくといいでしょう。



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