乳がんのMRI検査で何がわかるの?良性の割合はどのくらい?

「MRIで乳がんがわかるの? 何がわかるの?」

乳がんといえばエコーやマンモグラフィというイメージをお持ちの患者が多いのですが、それらで異常が見つかった場合などのあとに乳房MRIや細胞検査を行うことになります。

今回は、まだまだ聞き慣れない人のほうが多そうな乳房MRIについて簡単に説明していきます。




まずはおさらい……MRIってなに? 乳房MRI?

非常にザックリと説明すると、MRIとは超強力な磁場を利用した画像検査です。

レントゲンのように放射線を使わないため被曝がゼロです。

また、レントゲンやエコー(超音波検査)と異なり、検査時間が長大になるところがポイントです。(通常、20〜30分ないしそれ以上の時間がかかります)

更に、CT撮影と同様に造影剤(ガドリニウムという特殊な造影剤)を利用します。検査の前に、造影剤アレルギーの事前検査を行うことが多いです。

そして、今回の話は、このMRIを利用して乳房を検査し、内部にあるしこり・腫瘍が乳がんかどうかを検査していく方法とエコーやレントゲンとの違いについての話です。

乳房MRI……エコー(超音波検査)やマンモとの性能の違いは?

乳房MRIは現在、エコーやマンモといったスクリーニング検査で異常が見つかった患者に対しての精査がメインとなっています。(あとは、乳がんオペ後の乳腺の検査など)

また、マンモやエコーでも発見不可能な乳がんを見つけることが出来るのが大きなポイントです。

実際、早期乳がんの検出率がマンモと比較して極めて高く、MRIの本場であるドイツでの発表によると、早期乳がんにおいて、マンモが56%で乳房MRIの検出率は92%だそうです。

じゃあ、最初から乳房MRIでいいじゃん!……という声が当然にあるのですが、検査時間が長かったり、造影剤を利用したりと、マンモやエコーのように簡単に行えるというほどではないため、現状、精密検査やオペ前の腫瘍の分布チェックという特に重要な局面で多く利用されています。

何がわかるの? 悪性との鑑別・良性の割合

乳房MRIで検出された病変(しこり)をみて、がん疑いのある部位の細胞を採取してマンモトーム生検という組織検査に回し、確定診断を行います。

見つかった腫瘍の約33%が悪性(乳がん)で、残り66%は良性、あるいは発達した乳腺とのことです。良性の割合が半分を大きく越えているとはいえ、33%は十分に脅威といえる数字ですね……

なお、よく勘違いされるところですが乳腺MRIといえどそれ単体で確定診断まではいきません。あくまでも生検で確定するわけです。そして、生検をするためのガイドとなるのが乳腺MRIなのです。(この点はエコーも同様)



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BRCA遺伝子変異を持つ人への予防的診断として

乳房MRIのもう一つの可能性として、BRCA遺伝子変異を持つ人への検査適用があります。

BRCA遺伝子変異を持つ人は乳がんになる確率が非常に高い(BRCA1とBRCA2の双方で遺伝子変異がある場合、米国発表では80%以上の発がんリスク)とされており、アンジェリーナ・ジョリーが検査の結果、BRCA遺伝子変異を持っていることがわかり、『乳がんになる前に予防的に切除する!』と乳房切除したことはまだまだ記憶に新しいところです。

このように、(いわゆる)ハイリスクにカテゴリされる人はエコーやマンモではなく、初めから検出力が最も高い乳房MRIを受けたほうが良いのではないか?という声が学会で徐々に強くなっているところです。

まとめ

・エコーやマンモより遥かに高い診断能をもつ
・造影剤や長時間に及ぶ撮影、適応病院がまだまだ少ない不都合がある

といったところでしょうか。

現状で既に、精密検査としての乳房MRIの有用性につき争いはないでしょうが、これからエビデンスが取れてどんどん発展していく分野だと思います。



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