マンモグラフィーの被曝リスクは?被曝量ガイドラインについて

「マンモグラフィーって普通のレントゲンと被曝量の違いはあるの?」

放射線技師の仕事をしていると、被曝に関するご質問は日常的に受けます。

通常のX線を用いる検査では、ガイドラインが作成されておりそれ以上の被曝量にならないよう各施設で管理されています。

それではマンモグラフィーもガイドラインは存在するの?って気になる人もいるでしょう。

今回は、マンモグラフィーの被曝量と被曝リスクをテーマに解説していきます。




マンモグラフィーの被曝量は?

御存知の通り、マンモグラフィーはレントゲン(X線)を使って画像を得る検査です。

そして、マンモグラフィーは専用の機械を使って行い、その撮影手順もほぼ統一されています。

そのため、術者や施設によって大きく被曝量が変わることは通常は考えにくく、どこでマンモグラフィーを受けても一枚あたりの被曝量は変わらない、と考えて良い状況と言えます。

その被曝線量は0.2mSv以下

この数字が低いのか高いのか、どういう影響があるのかについて今から説明していきます。

被曝量のガイドラインはあるの?

まず、『被曝量はこの程度におさえなさい!』というべき、いわゆるガイドラインが存在するのかどうかについて。

この点、ガイドラインがちゃんと存在しまして、計算方法として、ファントム(人体構造を模した撮影模型)を使用した撮影において一枚あたりの乳房の吸収線量(おおむね、被曝線量と同じ意味と思ってください)が3mGy以下になるように、と定められています。

そして、日本で普及しているマンモグラフィー撮影装置の被曝線量のほとんどは2mGy以下になるようになっています。

いかにも日本らしい、大きく余裕を見た設計のためにガイドラインより実に3割以上も少ない線量でマンモグラフィー検査が出来るわけです。

そして、被曝関して意識の高い施設(病院)では、さらに低い線量を用いているところもあります。

撮影を担当する技師に確認をすれば撮影の被曝線量を教えてくれますので、心配な方は遠慮なく聞いてみてくださいね。



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被曝による影響やリスクは?

では、この被曝量は一体どの程度のものなのでしょうか?

まず、被曝するといっても乳房が中心で、その他の内臓には直接当たらないように撮影を行います。よって、大幅に減弱した散乱線被曝となるその他部位への被曝について、被曝リスクは気にしなくて良いと言えます。

そのうえで、上記の通りマンモグラフィーの被曝線量は一回あたり0.2mSv以下となります。

科学的な根拠からがん発生リスクが上昇するとされる線量が100mSvですので、危険値を超えるような被曝が生じうる可能性そのものがなく、乳房においても被曝リスクを心配する必要はないと言えます。

ここで通常のレントゲン被曝量を参考までに書きますと、胸部レントゲンが0.07mSv、膝関節で0.2mSv、通常、最も被曝の多い腰椎側面で4.0mSvというぐらいです。(よって、マンモグラフィーは膝関節とほぼ同じ程度の被曝量と言えます。)

元々が被曝リスクを考えなくていいほど被曝量が少ないレントゲン撮影の中で、更にマンモグラフィーは被曝量の少ない部類に入るという風にイメージしてください。

なお、グレイ(Gy)とシーベルト(Sv)は、ここでは同じものと考えてください。X線を使用する場合はグレイ=シーベルトとなります。詳しい説明は割愛します。

まとめ

  • 被曝線量は0.2mSv
  • 被曝リスクの危険値はその500倍の100mSv

ということで、マンモグラフィー検査による被曝量で、身体への影響の心配はありません。

もちろん、被曝量を気にしなくていいからといってバンバン無駄打ちしていいわけでないことは当然です。

検査に当たる放射線技師は、訓練を受けて適切な機械操作と撮影を行っておりますので、無駄な被曝が発生することは通常有り得ませんので、その点についてもご安心いただけると幸いです。



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