MRIは被曝しますか? → 被曝しないけれど磁場を利用してます!

「MRIってどのくらい被曝しますか!?」
「MRIはCTとどう違うんですか?」

非常にポピュラーな質問です^^

これは、原理から考えるとすぐに分かることですので、ごく簡単に説明していきます!




CTはレントゲンを使用・MRIは磁場を使用

CTは、レントゲン(エックス線のことです)の発生機をリング状のレールに固定してぐるんぐるん回しながら人体に360度方向からレントゲン照射し、その全てのデータをコンピューターで解析して人体の断面図を得る検査方法です。

当然、レントゲンを照射するのだから放射線被曝が発生します。

MRIは、日本語表記で『磁気共鳴画像法』と書くとおり、極めて強力な磁場を発生・制御し、それによって人体から得たデータをコンピューターで解析して人体の断面図を得る検査方法です。得られる断面図はCTと一見すると似ていますが内容は全く異なります。

よって……MRI検査は放射線被曝ゼロです!

レントゲン(エックス線)を使いませんので、放射線被曝はゼロです!被曝しないです。

……ちなみに、もう一つよくある質問が、「MRIってCTより “良い検査” なの?」というものがあります。

この点、CTとMRIとは下級・上級という上下関係にはなく、それぞれの検査で得られる画像(=診断できる内容)が全く別ですので、上下関係ではなく相補関係あるいは択一関係にある、と言えるでしょう。このあたりはいつか機会があれば簡単に説明することがあるかもしれませんが、原理等含め今回は割愛します。

じゃあ、磁気はいくら浴びても大丈夫なの?

被曝しないとはいえ、患者からするとそんな強力な磁気を浴びて大丈夫なの!?という疑問を覚えられる方もおられるかと思います。

実際、MRIで使用する磁場は極めて強力です。例えば、通常の金属ベッドや通常の車椅子をMRI室内に運び込んで機械に近づけると吸い寄せられて、空中を飛び上がり、MRIに吸着されて人力では引き剥がせないほどの大惨事が発生します。

なお、上記はあくまでも説明のための例であって、現実にはMRI検査室内への金属物(磁性体)の持ち込みは固く禁じられています。

最悪、引き寄せられた車椅子やベッド等と人間がMRIに挟まれて死にますし、そうでなくても吸着して人力で引き剥がせなくなれば、MRIで磁場を発生させるために使用している液体ヘリウムを院外に放出し、強制的に磁場を消失させなければならなくなります。(クエンチング、クエンチ等と呼ばれます。計画に基づかないクエンチは医療事故レベルです)

このクエンチが発生すると液体ヘリウムは空になり、再充填のために数百万円(500万円ぐらいと聞いたことがありますが……)の費用が発生します。

話が逸れましたが、それほど強力な磁場。人体に影響はないのでしょうか?



スポンサーリンク

磁場4テスラから影響アリ、しかし医療用MRIは3テスラ以下

MRIが発生させる磁場(磁束密度)には計測のための国際単位としてテスラ(T)があります。1テスラが10の4乗ガウス……などと言った説明の一切は割愛します(苦笑)

結論から言いますと、4テスラから人体に影響が出始めます。そして、医療用のMRI装置は最大で3テスラまでしかありません。(医療用の、とわざわざつけたのは、医療無関係の実験室・研究所レベルのMRIでは最大2800テスラまで到達しているからです)

ですので、医療機関でMRI検査をいくら受けても人体への影響はゼロです。

尚、医療用MRI装置はその構造原理上、専用に設計すれば8テスラまでいけるそうです。しかし、4テスラ以上の安全性が確保されていない以上、薬事法に通りませんので現実にそんなものが出てくる可能性は今のところはゼロですね(笑)

また、16テスラの磁場ではカエルが宙に浮くそうです。ここまで来ると実にすごい磁力ですね!

まとめ

  • CT =レントゲン使用 =放射線被曝アリ
  • MRI =レントゲン不使用 =放射線被曝ナシ
  • MRIの磁場は極めて強力ながら人体に影響は無し!

以上。原理を考えれば当然の話ですね^^

ちなみに、検査室に金属物を持ち込んだり磁性体のペースメーカーが埋め込まれていたりすると医療事故に繋がりますので、検査前には必ず厳重な問診が行われます。

命にかかわる、あるいは巨額の損害賠償リスクすらあることですので、MRI検査の際には、検査担当者の指示に従って安全に検査を受けてくださいね^^



スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です