造影剤副作用の症状まとめ!蕁麻疹や下痢、頭痛は大丈夫?

「造影剤を使うと言われたけどよく分からない……副作用とかあるんでしょ?」

造影剤と副作用に関する質問もよく患者から受けます。

そして、その重大性から当然にインフォームドコンセントの対象でもありますので医師から患者に対し、副作用のリスクと、それでもなお得られる大きなメリットについて説明および同意書のサインといった手順がが通常は存在することでしょう。

ここでは、その説明と重なる部分も有るとは思いますが、説明してしていきます。

 

【関連記事】造影剤副作用の対処法!遅発性や急変時の対応法を事前にチェック!

 




そもそも造影剤って?

今回は症状についての記載ですが、前提として少々触れておきます。

抽象的には『画像診断のために人体に投与する薬剤』、具体的には、

  • 胃の検査で飲む、または注腸検査で注入するバリウム製剤
  • CT検査やアンギオグラフィー(血管造影検査)で注射するヨード製剤
  • MRI検査で注射するガドリニウム製剤・点滴するSPIO・経口摂取する鉄剤

などがあります。

これから説明する副作用は、上記全ての造影剤で発生する可能性があります。

(尚、PETで使用する放射能製剤も広義では造影剤だとは思いますが少々話が異なりますので今回はパスします。)

副作用はいつ発生するの?

ほとんどが投与直後に発生します。これを即時性副作用といいます。

まれに、検査をしてから数時間後、遅いと翌日〜数日後に発生するケースもあります。これを遅発性副作用といいます。

例外として、造影剤を経口摂取した場合の下痢についてはその発生時間上、遅発性副作用の一種といえますが、「まれに」ではなくかなりよくある副作用……というか、下手に体内に残られるぐらいなら下痢して排出されるぐらいが丁度いい、といいますか……微妙ですが(苦笑)

なお、遅発性副作用は、以下に述べる副作用の中で『軽度の副作用』に属するものがほとんどです。



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インジェクションで発生する全身の熱感

インジェクターという造影剤自動注入器を使って短時間に一気に造影剤を注入するケースにおいて、患者から「身体が熱い」と言われるケースがあります。

これは、造影剤そのものの副作用というよりも、造影剤を血管内に高圧で一気に注入することによる人体の反応です。患者がパニックを起こさないよう、患者に言われる前から、熱くなりますが大丈夫ですよ、と前もって説明しておくことが普通です。

次からが本番です。

造影剤の副作用ってどんなの?

割とよくある副作用(軽度の副作用)と、稀におこる副作用(重度の副作用)で分けて考えます。

割とよくある副作用

吐き気(嘔吐)・悪心・動悸・頭痛・かゆみ・蕁麻疹・下痢といった症状は割とよくあるものです。検査担当者も通常、いつ発生してもおかしくないものと捉えており、症状が重くない限りは原則として検査が続行されます。

発生率はほぼ3%です。造影検査に携わる放射線技師ならおそらく誰もが日常的にといえる程度に体験するものになります。よく発生するのでスタッフ内での対処法も確立しています。

稀にしかない重篤な副作用

アナフィラキシーショック(あるいは単にショック)・心停止・呼吸困難といった副作用は重篤なものに分類されます。これは、適切な対処を速やかに行わないと患者が死ぬ危険を有する副作用です。

発生確率としてはかなり低く、1万人に4人以下となっています。(文献によっては10万人に4人というものもあるようです)

通常、造影検査を行う施設では、これらの重篤な副作用が発生した時に、患者へ可及的速やかに適切かつ十分な対応を行える体制が準備されて、定期的に訓練が施されています。

なお、この中で名前だけが先行しているイメージの有るアナフィラキシーショックについて更に少し敷衍(ふえん)しておきます。

よく聞くアナフィラキシーショックって?

いわゆるショック症状というのは、一般用語で言うと驚いた・衝撃を受けた、という文脈で使用されますが、医学においてショックというと循環性ショックを指し、何らかの原因により生体維持が不可能になる程度まで血圧が低下(あるいは局所的な血流が低下)し、重度の生命の危機をもたらす症状をさします。

このショック症状には色々な種類がありますが、アナフィラキシーショックはその一つで、ショックの中でも異物(本件では造影剤という異物)の体内への侵入(往々にして血流への侵入)により発生する激烈なアレルギー反応によるショックを指します。血圧の急激かつ異常な低下をきたして急性の循環不全を引き起こし、対処が遅れると確実に患者が死亡します。

まとめ

以上のように軽度のものと重度のものがあります。
次のエントリーでは、上記造影剤の副作用への対処法について触れてみます。

 

【関連記事】造影剤副作用の対処法!遅発性や急変時の対応法を事前にチェック!

 



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2 件のコメント

    • ミヤザキさん

      コメントありがとうございます。

      一般的なアレルギー体質をお持ちの方ということですよね?
      (造影剤アレルギーをお持ちの方もいらしゃるので)

      一般的に副作用は重くなりやすいと考えておいたほうが良いと思います。
      難しい話なので別記事にまとめますね。

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