妊娠初期のレントゲンの影響!歯科や健康診断は大丈夫?

「妊娠してるけど撮影して影響はないですか!?」

月に一度は聞かれる質問です。

また、多くの病院では、問診の段階で妊娠可能性の有無を確認しています。

ということは、妊娠中のレントゲン撮影で胎児に影響があるのでは……?

そんな風に考える患者も多いので、今回はそのあたりを掘り下げてみます。




妊娠初期のレントゲン撮影

妊娠初期と言われるのは、妊娠(着床)から12週以内です。

妊娠している事実が発覚するのは特につわりが早い人で妊娠から3週目。通常、4〜6週目とされています。

そして、胎児の重要な器官が形成されるのが妊娠4週~15週とされてます。

ここで、妊娠中の胎児につき影響の出る被曝線量の基準は100mSvとされております。(10週目を超えると120mSvとされていますが、まあ、現実として誤差でしょう)

この数字を覚えつつ、以下に進んでいきましょう。

健康診断で胃のバリウム検査は大丈夫?

これは実は被曝線量の幅が広すぎて一般論を書くのが難しいのですが、それ以前の話として、妊娠している人は胃透視(胃バリウム検査のことです)なんか受けずに胃カメラを受けましょう、というのが個人的な見解です。

被曝線量は余りに差があり、色々な病院・クリニックの発表する数字で1.5mSv〜15mSv(ときにはそれ以上の数字が……)と言われています。正直、検査手技がほぼ画一化されているのに、どうしてここまで発表数字に差があるのか私にもわからないのですが……

まあ、たとえ15mSvとしても、胎児の被曝線量は20分の1として問題がないという結論には至りますので、受けても問題がないとは言えます。

しかし、先も述べたとおりの極めて個人的な見解ではありますが、胃のバリウム検査など時代遅れ甚だしく、今や受ける価値が消失していると私は考えています。

放射線技師がこんなことを言うのは業界内の裏切り者と言われるかもしれませんが……妊娠の有無に関わらず、診断能力が胃透視より遥かに高い胃カメラがあるのだから、最初から胃カメラにしましょう(苦笑)



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じゃあ、健康診断の胸部(肺)のレントゲン写真は?

健診での胸部レントゲンの被曝線量は通常0.05〜0.07mSv程度です。また、撮影部位(=直接照射部位)が胎児から離れている場合、胎児の被曝は間接的なものとなり、母体の被曝線量からザックリと20分の1と計算します。

よって、胸部レントゲンで母体が肺に0.07mSv被曝した時、子宮にいる胎児の被曝線量は0.0035mSvとなります。

胎児に影響が出始めるとされる100mSvに至るほどの被曝をするためには、胸部レントゲンを1万回撮らなければなりません。(しかも、被曝しても人間の細胞は毎日回復しますので、短期間に1万回受けなければならないことになります。有り得ません。)

というわけで、全く気にしなくて大丈夫です^^

歯科のパノラマやスポット撮影はどうなの?

パノラマ撮影も、スポット撮影(患者が口でフィルムを噛んで、筒のようなものを顔に向けられて撮影するやつです)でも、照射するレントゲンの強度・被曝が微弱で照射範囲が頭部、なおかつ口腔内をピンポイントに設定しているため、首から下の部位についての被曝はほぼ無視できる程度となっています。

また、撮影する場所が頭部かつ口腔に限局されているため、身体に鉛プロテクターをつけてもつけなくても、首から下への散乱線被曝については有意差がない(=つけても変わらない)とすら言われています。

よって、妊娠中であっても気にすることはありません。

歯科における被曝線量の一覧は以下のとおりです。

  • 歯科用CT 0.1mSv
  • パノラマ 0.03mSv
  • スポット 0.01mSv

ちなみに、歯科用CTとパノラマは機械の外見が似ているのですが、パノラマはあくまでもアナログ写真、CTはデジタルです。まあ、今回のテーマとは無関係ですので特に気にしないで、数字だけ見てください(苦笑)

数字を見ても分かる通り、胎児の危険ラインに達するためには常識を大幅に逸脱した枚数を撮影しなければなりません。

よって、影響は無いと言って問題ありません。

実際、プロテクタを付ける方針の歯科医院においても、被曝の事を心配するのではなく実質的に患者へのメンタル面に対するフォローの問題と捉えていることがほとんどでしょう。(やはり、気にされる方はいらっしゃいますので。)

まとめ

妊娠中であっても、胸部(肺)や胃の健康診断や歯科レントゲンは全く気にしなくていい、というのが結論ですね。(胃の検査については、そもそも胃カメラを受けることをオススメします。)

また、それでも心配な場合はプロテクタをすることで心理面の不安もある程度は取り除かれるでしょう。

放射線技師も患者も、納得した上で撮影に及びましょう!



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