「造影剤の副作用で患者の急変時の対処法はどのように?」
原則として施設ごとにルーチンが設定されていますからそれに従うのは当然として、ここでは原則論・一般論を書いていきます。
なお、造影剤でどのような副作用があるのかについては、先のエントリー(造影剤副作用の症状まとめ!蕁麻疹や下痢、頭痛は大丈夫?)にまとめてありますので、未読でしたらそちらをご覧になってから当エントリーを読み進められるとよいでしょう。
【関連記事】造影剤副作用の症状まとめ!蕁麻疹や下痢、頭痛は大丈夫?
まずは検査時に発生するもの(即時性副作用)への対処について記します。そのあとに、遅発性副作用についても触れていきます。
ちなみに、対処時に要注意事項があるMRIにおける対応について特にに最後に記します。必ず読んで下さい。
即時性副作用への対処法
軽度副作用の場合は、様子を見ながら検査を続行することが多いです。
問題は、重度副作用の場合です。とりわけ重要なのがアナフィラキシーショックへの対処法です。(心停止や呼吸困難については簡単に触れる程度にします。)
見逃すな! アナフィラキシーショックの兆候!
以下に列挙するものはショックの前駆症状である可能性が高いので、すぐにドクターに連絡すること。
- 患者の顔色が急激に悪くなった
- 患者の皮膚色から血の気が失われている
- 急に咳こみはじめた(気道閉塞症状)
- 呼吸時にヒューヒュー鳴りはじめた(喘鳴。気道閉塞している)
- 急激な便意(急激な血圧低下)
- あくび(急激な血圧低下)
- くしゃみ(鼻の粘膜浮腫が起こっている)
特に、ラスト三つ(急激な便意・あくび・くしゃみ)はかなり危険な前駆症状です。
もはや急変していると認識し、すぐにドクターに連絡して対応しましょう。
アナフィラキシーショック発生時の対処法
ショック症状等が起きてからの静注は著しく難しいため、静脈を探しているうちに患者は死にます。よって、事前にルート確保(20G以上留置針)をして検査に臨むのが前提です。(それをしてないところは通常ないです。)
その上でのアナフィラキシーショックにおける第一選択は、エピネフリン(アドレナリン)の筋注と、酸素マスク(最大量投与。マスク10L。)、呼吸停止時は気道確保からのアンビューバッグ(手動型の救急蘇生バッグ)となります。
その他の薬剤については色々ありますが、先ずは上記を速やかに行うことが大切です。
具体的な処置手技については放射線技師ではなく医師や看護師の領分で、技師がやるべきことは、速やかに急変時コールし、医師・看護師が駆けつけるまでに患者を蘇生に適する位置まで寝台を下ろす等の事前準備を急ぐことです。準備が整っていないと対処が送れて患者の死亡リスクが高まります。
たまにいるのが、パニックを起こしてコールしたもののそのままオロオロと突っ立ってる馬鹿野郎ですが、『するべきことがあってその義務・責任があるのになにもしない』という不作為は殺人の実行行為に当たるという重大性を理解した方がいいでしょう。少なくとも、私はそのように教育しています。
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心停止、呼吸困難への対処
急変コール、寝台を下ろす、あとは医師・看護師による救急蘇生です。
MRI検査における対処
上記の通り対処内容自体は変わらないのですが、MRIで急変でスタッフが駆けつける……という時に、大切なことに気付けたら大したものです。もし気付かないなら、ここで覚えてください。
MRI検査担当の放射線技師だけでなくドクターや看護師、場合によっては他の放射線技師なども現場に駆けつけることになります。
彼ら彼女らが、金属物を身に着けていた場合、どうなるでしょうか?
異常なほど強力な磁場の働く中に、そんなものを持ち込んだら大変な医療事故に繋がりかねないことがわかりますね?
ですので、MRI急変時に駆けつける当番スタッフは平時から金属物を身につけないで通常業務に当たる必要があります。
他の放射線技師も、とっさに駆けつける際に金属物を外しておくところまで気が回るようにしてください。
もちろん、病院で教育を受けることとは思いますが、何も知らずにMRIで急変が起きたからと駆けつける際に、MRI独特のルールにまで気が回るようにしておいてください。二次災害など起こした日には居辛くなって退職もありえます。
最後に、遅発性副作用について
基本的に痒み、蕁麻疹、嘔吐、くしゃみ、喉の違和感などの軽度症状がほとんどです。が、ほんとうにごく稀に、遅発性副作用としてショックが生じることもあります。
原則として書面を患者に渡して書面に書かれている諸症状が現れたらすぐに病院に連絡し、あるいは救急車を呼ぶ等の流れを説明しますが、放射線技師のほうでも検査終了後に説明しておくことが大切です。
まとめ
検査が始まったら、撮影モニタを見ることはもちろん大切ですが、患者への必要に応じた問いかけ等を交えつつカメラ映像や窓越しに患者の様子を観察することのほうがより大切です。
患者の生命は、放射線技師に排他的かつ具体的に依存しておりその責任は重大です。
急変時の対処法を身体に覚え込ませて、検査時は常に急変時をイメージしておきましょう。
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