胃透視検査の目的は?手順や基準撮影法をチェック!禁忌事項についても確認しておこう!

胃透視検査は上部消化管造影検査の事で、バリウムを使って食道・胃・十二指腸の撮影をする検査です。

上部消化管検査には一般的に胃カメラと胃透視の検査方法が有り、胃カメラは胃粘膜を直視して病変の色や形状など確認しながら写真を撮ったり、バイオプシなどの病理検査ができます。

胃透視検査は胃の全体像を見る事ができ、胃の変形など確認する事が可能です。

今回は胃透視検査の目的や手順、基準撮影方法、禁忌事項に関して説明します。

医療者向けに書きますが、患者としてみても参考になると思いますのでぜひご覧ください!



胃透視検査の目的

胃透視検査受ける目的には、症状は無いが疾患の疑いが有る者を探す事を目的とした健康診断と、胃に何らかの症状が有る、もしくは胃カメラなどで疾患が有る事が事前に解っている者に対する精査を目的とした検査が有ります。

病院やクリニックなどで受ける健康診断の場合は透視装置が主に直接撮影装置かデジタルX線TV装置を使います。

出張健診の場合はデジタルX線TV装置を搭載しているバスも最近では増えてきましたが間接撮影装置もまだ多く可動しています。

(患者さんにとってはどちらでも関係ありませんが・・・)

胃透視検査の手順

前処置

まずは、胃透視検査を受ける患者さんに向けて、事前に伝えておく事項をまとめました。

<検査前日>

できれば夕食はあまり油濃い食事はひかえて軽めの食事に。

夜9時以降飲食は取らないようにしてください。

<検査当日>

検査当日から検査終了まで飲食はしないようにしてください。

タバコを吸う方は検査終了まで禁煙をお願いします。

服用中のお薬が有る場合は主治医の先生と相談してください。

食べ物などの固形物が胃の中にあると、検査の邪魔になることは想像できますよね。

しかし、ジュースやコーヒーなど、固形物では無くても検査当日に飲食をするとバリウムが薄まってしまったり、胃液が出てしまい胃粘膜にバリウムがうまく付着しないため十分な検査結果が得られなくなるんです。

検査を受ける方は、当日はお腹が空いてしまうかもしれませんが正しい検査結果が出るように我慢しましょう。

タバコも検査前に吸うと胃を刺激してしまい蠕動運動(胃がウネウネ動いてしまうということですね)が起こったり胃液が出てしまうことがあります。

検査結果に影響を与えてしまうのでタバコは吸わないようにしましょう。

胃透視の検査もX線を使う検査なので、金具やボタンのついた服はNG。

検査着に着替えていただきます。

たまに上半身だけ着替えればいいのでは?という方がいますが、胃はかなり低い位置までくることがあるのでズボンやスカートも脱ぎましょう。

胃透視検査の撮影に入る前に健康診断でも精査でも初めに発泡剤を飲みます。

発泡剤は炭酸の顆粒状ラムネのようなもの。

胃を膨らませる事で二重造影法の撮影が可能になります。

この発泡剤を飲む時は、少量の水か硫酸バリウムで一気に胃に流し込まないと口の中で気体となり飲み込めず吐き出してしまう事になるので注意してください。



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胃透視の基準撮影法について

それでは胃透視の撮影の手順についてみていきましょう。

基準撮影方法

胃透視検査の基準となる撮影法には4種類の撮影方法があります。

この4種類の基準撮影法を中心に角度などを変えて8~12枚撮影します。

その4種類の撮影方法とは、

粘膜レリーフ法充満法

二重造影法

圧迫法

しかし最近の健康診断では全て二重造影法での撮影が主流となってきています。

これは、限られた撮影枚数で診断をするには2重造影法が一番得られる情報量が多いからです。

健康診断

健康診断の最大の目的は何と言ってもガンの早期発見です。その他にも胃潰瘍・ポリープ・憩室・胃炎なども見つける事が出来ますが、やはりガンをいち早く発見する事が大切です。

胃がんは早期発見する事で97%が手術などにより完治します。胃の早期がんでは自覚症状が無い事が多いので健康診断で胃透視検査をするには早期がんを見落とさないよう慎重に捜す事がとても大切になります。

健康診断を受けるには病院かクリニックで受ける以外に、会社に出向いて行く出張健診も有ります。

・健康診断での撮影方法の1例。

(食道はバリウムを飲むときに目視し、何か有れば撮影します。

  • 背臥位正面二重造影法
  • 背臥位第1斜位二重造影法
  • 背臥位第2斜位二重造影法
  • 腹臥位正面二重造影法
  • 腹臥位第1斜位二重造影法
  • 右即臥位二重造影法
  • 背臥位第2斜位二重造影法(振り分け)
  • 立位第1斜位二重造影法

健康診断での撮影は撮影枚数や撮影時間に関しても制限が有るため必要最小限にまとめられています。

その為1枚の画像の役割は非常に大きいので透視中の画像での確認はとても大切です。また撮影中病変に気づいた時には追加撮影により撮影枚数が増える事も有ります。

精査撮影

胃透視検査の精査は胃の調子が悪いため病院などを受診し、胃の病気が疑われて医者の指示により胃透視検査を受ける場合と、胃カメラなどですでにガンなどの病気が解っていて手術の前に胃透視の検査を受ける場合が有ります。

<撮影方法の一例>

検査5分前にブスコパン筋注(胃の蠕動運動を止める)

  • 粘膜レリーフ像
  • 食道二重造影
  • 伏臥位充満像
  • 背臥位二重造影像
  • 背臥位第1射位二重造影像
  • 背臥位第2射位二重造影法
  • シャツキー像
  • 振り分け
  • 2重造影像(4分割)
  • 十二指腸Cループ撮影
  • 立位充満像
  • 圧迫像(4分割)

上記撮影時に透視中病変を確認した場合は病変を最低2方向以上追加撮影。

また病変によってはバリウムを病変の上に流しての撮影や圧迫撮影の追加撮影も必要になります。

胃がんの手術前に撮影する精査撮影では、胃がんの大きさや形状を詳しく描写する事。

胃カメラでは解りにくいがんの浸潤範囲などが解るように撮影する事が大切で、この結果により手術で切除する範囲が決まる。

禁忌事項、注意事項について

腸閉塞・消化管穿孔・急性腹症・バリウムアレルギーは禁忌事項に当たります。

このような場合には通過状態を見るだけならガストログラフィンを使う事があります。

ブスコパンの使用にあたり、前立腺肥大・心不全・甲状腺機能亢進症・緑内障は禁忌事項なので、代わりにグルカゴンを使用します。

妊娠中もしくは妊娠の可能性がある場合はもちろん胃透視検査を回避してください。

最近では胃の調子が悪いなどの症状で病院などを受診した時に胃透視検査では無く胃カメラを選ぶ医者が多く、病院で行われている胃透視検査は健康診断が多くなっています。

胃透視検査は、CTのように装置の性能に大きく影響される検査では無く、撮影者(技師や医師)の技量が大きく影響する検査。

知識と経験がとても大切になりますので、撮影者は日々の研磨を怠らないようにしましょう。

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