「乳がん検診で、エコーってマンモグラフィーとなにが違うの?」
近年、マンモグラフィー検診が普及し、乳がん検査において、エコーとマンモグラフィーの両方行っている病院が多いですが、2つの検査の違いが結局のところよくわからない……という人も多いです。
今回は、乳がん検査におけるエコーとマンモグラフィーの違いについて説明します。
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マンモグラフィーは精密なレントゲン(静止画)を利用した画像診断
乳房をまんべんなく引き伸ばして圧迫して広げた状態で乳房専用の高精度なレントゲン撮影を行い、読影に特化した専門医師が診断する方式です。
通常、撮影者と読影者が別れていることと、撮影法が確立しているため撮影者(放射線技師)によるバラツキが出にくい点と、専門の読影者がいるため診断能力も安定している点がポイントです。
40歳未満の女性では一般的にまだまだ乳腺が発達しているため、マンモグラフィーの診断能力が落ちる傾向があり、この点についてエコーが勝っています。また、マンモグラフィーの検診対象年齢が40歳以上である根拠ともなっています。
また、描出についてはエコーでは描出が難しい微細な石灰化を見つけることが出来ます。
ここで、石灰化についてすこし敷衍(ふえん)しておきましょう。
石灰化とは? マンモグラフィーとエコーでの違い
石灰化とは、生体内においてカルシウムが沈着して固まっている状態を指します。
レントゲン写真では、石灰化している部分は白く見えます。マンモグラフィーはレントゲン写真の一種ですので、同様に、白く見えます。(まるで白い砂があるかのように見えます)
この石灰化が起こる原因は色々あるのですが、その中に、腫瘍によるもの、特に悪性腫瘍(癌)による石灰化も含まれます。よって、安全側の考え方に立脚し、石灰化が見られる場合は腫瘍・癌のサインではないかとまず疑っていくわけです。
注意しておきたいことは、上記をよく読むとお分かりいただけると思いますが、石灰化が見つかったから癌だ!というわけではありませんので、その点、早とちりはしないようにしてください。(けっこう、慌てふためく患者がおられます。気持ちはわかります。)
ただし、石灰化が見られるその原因を究明する必要は大いにあるでしょう。
エコーはその性質上、小さな石灰化の状態での乳がんを発見することが困難です。もちろん、大きくなるほど放置すればエコーでもわかりますが、それは早期発見の趣旨を考えるにナンセンスでしょう。
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エコーは超音波を使用してリアルタイムにじっくりと検査
医師が、プローブという機械を通じて患者の乳房に超音波を当てて、内部組織から反射してきた音波を画像にして診断します。
マンモグラフィーとは得意分野が違います。また、リアルタイム診断であるため担当医師の知識や技術に大きく依存します。
十分に訓練されている医師によるエコーでは、見落としがない限り、1cm未満の小さな腫瘍も見つけることができます。特に、0.5mmサイズの早期がんにおける診断能力についてはマンモよりエコーに軍配が上がるでしょう。
また、マンモグラフィーと違って乳房を押しつぶすことによる痛みがなく、放射線を使わないので妊婦でも安心して検査を行うことが出来ます。(もちろん、妊婦といえどマンモの被曝など、気にするような線量ではありませんが、気分的な問題もあるでしょう。)
エコーは、マンモグラフィーが苦手とする、乳腺の発達した40歳未満の女性に特に有効です。
逆に、50代後半〜60歳以上になると乳房の大部分が脂肪になり、脂肪の影響で腫瘍がエコーに隠れるため診断能がおちるとされています。
余談ですが、『なんでもかんでもエコーがいいんだ!』という異常に偏った一方的な考えを持つエコー至上主義の医師が少なからずおられまして、マンモなんぞ検診で十分、確定診断はエコーだけでいいんだ!と言わんばかりの意見がごく一部あるのですが、本当に患者の利益を考えているのであれば万全を期すため両検査を行うのが医療人としてのスジなのではないかと個人的には考えています。
まとめ
どちらがいいというわけではなく、被験者の年齢によっても適用がことなってきますし、場合によっては両方を勧められることもあると思います。
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