「脳MRI検査でわかることは? 画像の見方は?」
今回は、脳MRI画像の病気がある場合の異常信号について書いていきましょう。
白い影や白い点がなにを意味するのか、ザックリと頭に入れておきましょう。
なお、T1・T2の基本的なことについては一つ前のエントリーで説明していますので、そちらをお読みくださいませ。本エントリーではそれらを理解している前提で話を進めていきます。
脳MRIと脳CTのおはなし
脳のMRIでわかることの前に、まずは少しだけ脳のCTについて触れておきます。
MRIが登場してCTよりずっと多くの脳画像が作成できるようになっても、脳卒中(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)の疑い患者については第一選択がCTであることは変わりません。
検査時間が早く、患者の費用も低く、依然としてメリットが高いのです。
たまに、いや、しょっちゅう、「全部MRIでいいんじゃないですか?」みたいなことを抜かす新人がいるのですが、全くそんなことはありませんので……
CTで出血の有無を確認して、その上でMRIで精査するのが基本です。
それでは、脳MRIの話を進めていきましょう。
脳MRIでわかること
様々なケースで有用です。列挙しますと……
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)
- 硬膜下血腫
- 脳腫瘍
- 脳炎
他にも適応がありますが、今回は脳MRIの基本となる脳梗塞、特に超早期脳梗塞や早期脳梗塞と拡散強調画像(DWI)を中心として、各撮像方法の見方を説明していきましょう。
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脳梗塞の画像の見方
撮像方法は4種類。
- T1強調画像
- T2強調画像
- FLAIR画像(フレアー)
- 拡散強調画像(DWI)
この中で、拡散強調画像(DWI)は早期脳梗塞で特に重要になってきます。
しかし、まずは順番に見ていきましょう。
T1強調画像
画像の見方としては、新しい脳梗塞や脳浮腫はT1強調で低信号(黒に近い)となります。
T2強調画像
水が白く写るT2強調。これが画像の見方の基本となります。
脳室は、脳も含めて水分が多い所ですが、脳梗塞も白く写ります。
ですので、脳梗塞は高信号(白い影・白い点)……と覚えておきたいところですが、早期と慢性期でわかることが変わってきますので、画像の見方も含め、一旦このエントリーを最後まで読んで下さい。
FLAIR画像(フレアー)
FLAIRだと低信号(黒に近い)となります。
なお、FLAIRと脳梗塞についてはこちらをを参照してください。
拡散強調画像
DWI(拡散強調画像)についての詳細は別記事にまとめてありますので下記を参考にしてください。
拡散強調画像(DWI)では水分子が動けないほど高信号(白い影・白い点)となります。T2強調画像は、単に水が多ければ高信号になる撮像法ですが、拡散強調画像(DWI)は、水分子の移動が少ない(=拡散係数が低い)ほど高信号になる撮像法なわけです。
脳梗塞急性期(自己融解期)
T2強調画像 …… 変化なし
拡散強調画像 …… 高信号(白い影・白い点)
ADC-map …… 低値(低信号)
T2強調画像で変化がなく、拡散強調画像(DWI)で高信号(白い影や白い点)となります。
脳梗塞慢性期(細胞崩壊期)
T2強調画像 …… 高信号(白い影・白い点)
拡散強調画像 …… 低信号(黒っぽい)
ADC-map …… 高値(高信号)
慢性期は拡散係数が高いため、T2強調画像で高信号となり、拡散を強調すると低信号となります。
まとめ
- 脳MRIで重要になるのが脳梗塞、特に早期脳梗塞の発見
- 早期脳梗塞の発見には拡散強調画像(DWI)とADC-mapのセット
- 拡散や拡散係数といった言葉の意味と原理を理解しておく
- 急性期と慢性期を見分けるためにT2とDWI&ADC-mapを見比べる
以上です。
これが脳MRIの基本となりますのでしっかりと覚えておきましょう!
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