「FLAIR法って、一体どういう撮像法なんですか?」
MRIの基本ですし、学校で使った本や職場にある本を引っ張り出して勉強しましょうね^^
……というのはこのブログの趣旨にあいませんし、実際、T1やT2は知っているし何がどう映るのか分かるという人でも、FLAIRはイマイチ原理がよく分かっていないという人も多いです。
もちろん、最初は私もわけがわかりませんでしたが……それでも、FLAIRが何の略か改めて考えるとすぐにわかったのを思い出します。
どちらにせよ、そんな大したものではありませんので簡単気楽にいきましょう。
この記事では、MRIのFLAIRについての原理や特徴から、実際の現場で高信号にうつる脳梗塞の味方についてご紹介していきます。
FLAIRってそもそもなに?
「フレアーってなんですか?」
と聞かれたら必ず答えるのが次のこと。
「フレアーって口で言ってるけど、そもそもなんの略か知ってる?」
何事も、正式名称を知らずに本質に至ることは有り得ません。
FLAIRとは、”レーザー”と同じく文章の頭文字を都合よく取って「それらしい発音」になるように並べたもので、正式には FLuid Attenuated Inversion Recovery の略になります。
直訳すると『液体を減衰させた反転回復(IR)』ということで、なんと、IR法の一種であることがわかりますね。
脂肪抑制画像と同じような感覚で『水抑制画像』と呼ぶ流派もいます。
どういう原理なの?
IR法において、反転時間 (TI) をCSF(脳脊髄液)の磁化がゼロ点を通る時間(大体2000ミリ秒)に設定してCSF信号を抑制する撮像法です。
脳脊髄液(水)を抑制することで、脳室周囲の高信号病変をはっきりさせるために用いられます。
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FLAIRの特徴
続いて特徴のついてみていきましょう。
T2だと脳脊髄液と病変がどちらも高信号になるため、両者が接していると鑑別できなくなってしまいます。しかし、上記の通り脳脊髄液を抑制して無信号にしますので結果として病変を浮かび上がらせることができます。
ですので、脳脊髄液と接している部位を描出するならT2ではなくFLAIRを利用するのです。
そして、水に近い液体は無信号になりますが、血液は高信号のままという出血の鑑別に非常に都合のいい撮像法でもありますので、クモ膜下出血が起こって脳脊髄液に血が含まれる場合、本来なら無信号になっているはずの脊髄腔が高信号になります。便利ですね。
また、脳梗塞のうちラクナ梗塞(脳血栓症の一つ)は古い病変の内部が液体に置き換わるため、T2とFLAIRとの比較で後者で内部が低信号になります。
脳梗塞の急性期(高信号)と慢性期(低信号)とを鑑別できます。(なお、超急性期は検出不可能ですので拡散強調画像もちゃんと見ましょう。)
このように、FLAIR単体で見ても有用、T2と比較しても有用と、脳を撮影するのに強い味方になってくれる撮像法なのです。
まとめ
- FLAIRは脳脊髄液を無信号にするIR法
- 脳脊髄液と接する病変の同定に有用
- T2と見比べることでラクナ梗塞(脳梗塞)の新旧の鑑別が可能
というわけです。
よくわからないけど急いでいる人へ
上記を何度か読んだらわかると思いますが、いますぐ「それっぽく理解しなきゃいけない!」事情があるからわざわざスマホなりPCなりで検索しているのでしょうし、お土産を一つプレゼントしましょう。
『FLAIRはT2画像から水だけを黒くしたもの!』
……ひどく乱暴ですが、画像をみるときにはこれを知っていればある意味、十分とも言えます。
これで場数を凌いでいる間に、ちゃんと原理から理解しましょうね^^
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