DIC-CTとは?検査の手順、使用造影剤、禁忌事項まとめ!

最近は、DIC検査やDIC-CT検査の依頼は少なくなってきていると思います。

それは、レントゲン以外の胆嚢検査の制度が以前に比べ良くなって来た事原因でしょう。

しかし胆嚢の術前検査としてはとても優れた検査なんです。

この記事では、DIC-CT検査とはどんな検査なのか?目的、手技の手順、使用する造影剤や禁忌事項の注意点などを実際の体験も含めてまとめましてみました。




DIC-CT検査とは?

DIC-CTとは点滴静注胆嚢胆管造影法(Drip Infusion Cholevstocholangiography)とCT検査を組み合わせた検査法です。

胆石、胆嚢がん、胆嚢ポリープ、胆管結石、痰道がん、慢性膵炎、膵頭部がんなどを調べる時にこの検査を行います。

DIC-CT検査を行う目的や有用性

DIC-CT検査は胆石や胆嚢ポリープの疾患などに対して手術前におこなう事が多い検査です。

造影CT検査の写真と3D画像により胆嚢や総胆管の位置などを立体的に見ることが出来るので手術に有用な検査です。

現在のようにCT装置がヘリカルCTに変わり胆道系の3D画像、MPR画像、内視画像などが構成できるようになった事で腹腔鏡下胆嚢摘出術、胆嚢管合流形態の把握、膵・胆管合流異常の機能的診断に有用性が有ります。

DIC-CTの総胆管結石の診断能は97.8%なので、EUSやERCなどの侵襲的検査とほぼ同等の診断能結果となります。

5mm以下の結石ではDIC-CTの診断能は100%であり、その他の結石検査の診断能はUSで32~67.4%、DICで44~65%、CTで27~71%と非侵襲的検査としてはとても良い診断能です。

DIC-CTの問題点

検査のメリットとデメリットを把握しておくことも大切なので、DIC-CTの問題点についても触れておきます。

DIC-CTの問題点としては撮影時に息止めが必要になるので意識レベルが低い患者さんや医師の疎通が取れない患者さんには不向きなところがあります。

息止めが不十分な場合は冠状面画像の診断ができない場合もありますが、総胆管結石に関しては透亮像での描出となるため動きによる影響を少なくすることはできます。

また、高度黄疸症例や高度肝機能異常症例におけるDIC-CTは適用から除外するしてEUSやERCを行うべきとの報告が多くされているので症例によっては適応外の場合もあるので確認が必要でしょう。



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使用する造影剤

ビリスコピン点滴静注50を使用します。

この造影剤はヨード系造影剤なのでヨード禁忌の方には使用できません。

主な副作用として発疹、掻痒、嘔気、熱感、嘔吐、顔面紅潮、腹痛、鼻炎、咳などがあります。

重大な副作用にはショックを起こす事があり、アナフィラキシー様症状や急性腎不全なども起こす可能性が有るので検査中は十分な観察が必要です。

以前、ビリスコピンでは無いのですが、CT検査中にオムニパークというヨード造影剤造影を投与したした際に患者さんの状態が急変したため検査を中止して急遽手術室で気管挿管された患者さんがいました。

ヨード剤でのショックは本当に怖いです。

かなり昔の話ですが、造影検査を受ける前にアレルギーが有るかテストアンプル添付されており、検査前にテスト液でアレルギー反応が出ないか調べていました。

そんな時代があったということすら知らない医師、技師、看護師さんも多いでしょうね。

ただ、科学的な信頼性が認められず、テスト量で重篤な副作用が起こることも有り現在ではテストアンプルの添付は無くなっています。

 

過去にビリスコピンもしくは他のヨード系造影剤で反応が有った方は医師とよく相談をしてください。

DIC-CTの検査の手順

それでは、DIC-CT検査の手順について説明していきます。

ここで説明する手順が絶対ということはありません。

施設によって多少やり方は変わると思いますので大まかな流れだと思って参考にしてください。

  1. 点滴前に腹部単純写真を撮影します。
  2. 検査当日の朝は絶食の状態でビリスコピンを点滴で約30分~1時間かけて落とします。
  3. 点滴終了30分後に腹部X線写真を撮影して造影されているか確認後CT検査を受けます。
  4. CT撮影に関しては一般の腹部CTのプロトコールに近いがFOV を絞りスライス圧は1.25mmで撮影して3D処理を行います。
  5. 胆嚢や総胆管の造影には個人差があるので、3D画像にも影響が出るため患者さんの体位変換を行ったり、撮影の時間を遅らせるなどの工夫が必要になる。
  6. DIC-CTを行う時にDIC検査も合わせて行う場合が有ります。その時にはDIC検査の撮影時間と調整してCT撮影を行います。
  7. 検査終了後は水分を普段より多めに取り造影剤の排出を促がします。

少し説明を加えていきます。

私が働く病院では点滴を始める前にビリスコピンを数滴落として10分前後様子を観察します。

かゆみ、くしゃみ、顔面紅潮などが無いかを観察した後に約40分で点滴が終了するようにし、点滴中は被験者の変化によく注意しながら慎重に投与しています。

また、検査終了後も数日後にアレルギーが出る場合が有るので、検査が終わってからも患者さんには体の様子を気にしてもらうように伝え、蕁麻疹、嘔気、鼻炎など普段と変わった症状が有れば受診をすすめます。

あと、当たり前ですが、女性の場合は、妊娠の可能性有無をしっかり確認しておいてくださいね。

胆嚢造影法の過去と現在

数十年前は、まだCTも第1世代が出始めたばかりの頃で、一般的に胆嚢検査と言えば経口造影剤を使ったテレパーク法が主流でした。

これを知っている技師の方は相当なベテランですね・・・

テレパーク1日法や3日法といって経口造影剤を検査前1日~3日間飲んで検査を行う方法ですが造影能力があまり良く有りませんでした。

その後ビリスコピン点滴薬によるDIC法が始まりテレパーク3日法+DIC法といってテレパーク法とDIC法を合わせた検査方法が始まり、CTがヘリカルCTの普及によりDIC-CTへと変わり3D画像による画像診断が可能になりました。

装置が進化するにつれ検査方法も変わっていくという良い(悪いのかも?)例です。

検査法も日々進化しますのでしっかり勉強していきましょうね。



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